よくわかる【食虫植物】ウツボカズラ(ネペンテス)の基礎知識

食虫植物のきほん

ウツボカズラといえば、一度見たら忘れられない、個性的な形の袋が特徴です。

こんなに面白く魅力的な形の植物はめったにありません。

ハエトリ先生
ハエトリ先生

では、突然だが、クイズの時間である。
ウツボカズラに付いているツボのような袋はな〜んだ?
1 花
2 実
3 葉 

えーっと、実に見えるけど、もしかしたら花かな?
1番の花!

ハエトリ先生
ハエトリ先生

不正解!
正解はだ!あの袋は葉の一部なのだ

え〜ほんと??
ボクの知ってる葉っぱとぜんぜん違う

ウツボカズラがもつ袋は葉の一部が変化したものです。

葉の先が袋状になり、上にはフタがつき、袋の前側には縦に羽がついています。
しかも、その袋は虫を捕まえるためのわなで、中には消化液が入っているのです。

へー。葉っぱなのに胃ぶくろみたいだね!

種類によって、袋の形が違い、大きいものや小さいもの、細長いものや丸いもの
赤いものや緑のもの、まだら模様があるもの……どれもが個性的ですてきな形をしています。

ウツボカズラ(ネペンテス)とは?

ウツボカズラはウツボカズラ科の食虫植物。葉の中央の脈がつる状に伸びて袋状になり、落とし穴式で虫を捕まえます。袋の形、大きさはさまざまです。捕虫袋の形は、高い位置に付くのと、地面に近い位置に付くので、形が異なる種類もあります。

オスとメスがあり、それぞれ違う花を咲かせます。花は種類によっては、堆肥のような臭い匂いや薬に似た化学的な匂いがします。主に虫によって受粉し、種がつきます。

観葉植物としての一部の趣味家の人気が高く、珍しい種類はコレクターの間で高値で売買されています。

ウツボカズラの個性に満ちた生態〜捕虫方法

ウツボカズラの袋は葉が変形したものです。

この袋状の葉は、虫を捕まえるためのわなであり、「捕虫袋」といいます。

ウツボカズラは新しい葉をつけると、葉が大きくなって開くにしたがい、真ん中の葉脈の先につるのような突起がつきます。その突起の先がじょじょにふくらみ、袋になります。

袋は大きくなるにつれ、中に消化液が作られてたまり、成熟すると袋のフタが開きます

捕虫袋の蓋がまだ開いていない状態

袋の内側の下方には多数の消化腺があり、そこから消化液がにじみ、底の方にたまっています。

袋にはフタがつき、屋根になっています。このフタの表や裏、袋の入り口とその周辺から出る蜜で、虫をおびき寄せています。

袋の入り口は袋の内側に向かって滑りやすく、おびきよせられた虫が止まろうとすると、中にすとんと落ちてしまいます。袋の内側もまたロウ質でガラスの表面のようにツルツルとして、落ちた虫ははいあがることができません。消化液は浸透性で虫の体に染み込み、虫は浮かぶことができず沈んでいき、溺れ死んでしまいます。

落ちた虫は消化液とバクテリアによって、数日から一週間くらいかけて分解され、吸収されていきます。

ウツボカズラの学名と発見史について

ウツボカズラは和名で、学名はNepenthes(ネペンテス)です。

和名のウツボカズラは、靭蔓を意味します。靭(うつぼ)は矢を入れて背負うための筒状の道具のことです。捕虫袋を靭(うつぼ)に見立てて名付けられました。

英名は、PitcherPlant(ピッチャープラント)。

そして、学(属)名のNepenthes(ネペンテス)は、ギリシア語を語源にもち、「深い悲しみや憂いからの解放」を意味します。

命名はリンネによってです。資産家であり、リンネのスポンサーだったジョージ・クリフォードとの共著『Hortus Cliffortianus』(ホルタス・クリフォルティアヌス)に記述。(1737年)記載されている種類はディスティラトリア。そして、1753年に命名確立しました。

発見史については『Pitcher Plants of the Old World』(Stewart McPherson)に詳細に書かれており、ウツボカズラに関するもっとも古い記録は、1658年。フランスの植民地総督エティアンヌ・ド・フラクールの著書「マダガスカルの歴史」に、ローカルの名前であるAmramaticoと呼んだのが最古の記録だそうです。

ウツボカズラはどんな場所に生えている?原産地について

多くのウツボカズラのなかまは、東南アジアを中心に、ボルネオ島、スマトラ島に生えています。
いくつかの種類は、マダガスカル、セーシェル、ニューカレドニア、オーストラリア、中国にも分布しています。

ウツボカズラの多くは、高温多湿を好み、泥炭湿地や熱帯雨林の低地から高地に生えています。
他の植物に巻きついて生えていたり、岩肌や朽木に着生していることもあります。

ウツボカズラの種類 原種と変種、交配種、園芸品種

ウツボカズラのなかまは、およそ170種あります。種類によって大きさ、葉や捕虫袋の形、色、模様が異なり、目を惹くものが多いです。捕虫袋は球状だったり、楕円形だったり、底がすぼまり漏斗状になったり、いろいろです。


形の面白さから観葉植物としての人気が高く、サラセニア同様に多くの交配種、園芸品種がつくられ、
世界中のコレクターに愛されています

ウツボカズラの原種一覧

・N. abalata  アバラタ
・N. abgracilis 
アブグラキリス
・N. adnata 
アドナタ
・N. aenigma 
アエニグマ
・N. alata 
アラタ
・N. alba 
アルバ
・N. alfredoi 
アルフレドイ
・N. allbomarginata 
アルボマギナタ
・N. alzapan 
アルザパン
・N. ampullaria アンプラリア
・N. andamana アンダマナ
・N. angasanensis 
アンガサネンシス
・N. appendiculata 
アペンディクラタ
・N. argentii 
アルゲンティー
・N. aristolochioides アリストロキオイデス
・N. armin 
アルミン
・N. attenboroughii 
アッテンボロギイ

・N. barcelonae 
バルケロナエ
・N. beccariana 
ベッカリアナ
・N. bellii 
ベリイ
・N. benstonei 
ベンストネイ
・N. biak 
ビアク
・N. bicalcarata 
ビカルカラタ
・N. bokorensis 
ボコレンシス
・N. bongso 
ボングソ
・N. boschiana 
ボスチアナ
・N. burbidgeae 
バービジアエ
・N. burkei 
ブルケイ

・N. cabanae 
カバナエ
・N. campanulata 
カンパニュラタ
・N. ceciliae 
セシリアエ
・N. chang 
チャン
・N. chaniana
チャニアナ
・N. cid 
シド
・N. clipeata 
クリペアタ
・N. copelandii 
コペランディ
・N. cornuta 
コルヌタ
・N. danseri 
ダンセリ
・N. deaniana 
ディニアナ
・N. densiflora 
デンシフロラ
・N. diatas 
ディアタス
・N. distillatoria 
ディスティラトリア
・N. dubia 
ドゥビア

・N. edwardsiana 
エドワードジアナ
・N. ephippiata 
エフィピアタ
・N. epiphytica 
エピフィティカ
・N. eustachya 
ユースタキア
・N. extincta 
エクスティンクタ
・N. eymae 
エイマエ

・N. faizaliana 
ファイザリアナ
・N. flava 
フラヴァ
・N. fractiflexa 
フラクティフレクサ
・N. fusca 
フスカ

・N. gantungensis ガントゥンゲンシス
・N. glabrata 
グラブラタ
・N. glandulifera 
グランデュリフェラ
・N. graciliflora 
グラキリフロラ
・N. gracilis 
グラキリス
・N. gracillima 
グラキリマ
・N. gymnamphora 
ギムナンフォラ

・N. halmahera 
ハルマヘラ
・N. hamata
 ハマタ
・N. hamiguitanensis 
ハミギタネンシス
・N. hemsleyana 
ヘムスレヤナ
・N. hirsuta 
ヒルスタ
・N. hispida 
ヒスピダ
・N. holdenii 
ホルデニイ
・N. hurrelliana 
ヒューレリアナ

・N. inermis 
イネルミス
・N. insignis 
インシグニス
N. izumiae イズミアエ
・N. jacquelineae 
ヤクリネアエ(ジャクリネアエ)
・N. jamban 
ヤンバン(ジャンバン)
・N. junghuhnii Macfarrl.  
ユングニイ マクファル
・N. justinae  
ユスティナエ

・N. kampotiana 
カンポティアナ
・N. kerri 
ケリイ
・N. khasiana 
カーシアナ
・N. kitanglad 
キタングラド
・N. klossii 
クロッシイ
・N. kongkandana 
コンカンダナ
・N. krabiensis 
クラビエンシス

・N. lamii 
ラミイ
・N. lavicola 
ラヴィコラ
・N. leonardoi 
レオナルドイ
・N. leyte 
レイテ
・N. linglata 
リングラタ
・N. longifolia 
ロンギフォリア
・N. lowii 
ロウウィ

・N. macfarlanei 
マクファラネイ
・N. macrophylla 
マクロフィラ
・N. macrovulgaris 
マクロウルガリス
・N. madagascariensis 
マダガスカリエンシス
・N. malimumuensis 
マリムムエンシス
・N. manbo 
マンボ
・N. mantalingajanensis 
マンタリンガヤネンシス
・N. mapuluensis 
マプルエンシス
・N. maryae 
マルヤエ
・N. masoalensis 
マソアレンシス
・N. maxima 
マキシマ
・N. merrilliana  
メリリアナ
・N. micramphora 
ミクラムフォラ
・N. mikei 
ミケイ
・N. mindanaoensis 
ミンダナオエンシス
・N. minima 
ミニマ
・N. mira 
ミラ
・N. mirabilis 
ミラビリス
・N. mollis 
モリス
・N. monticola 
モンティコラ
・N. muluensis 
ムルエンシス
・N. murudensis 
ムルデンシス

・N. naga 
ナガ
・N. nebularum 
ネブラルム
・N. negros 
ネグロス
・N. neoguineensis 
ネオギネエンシス
・N. nigra 
ニグラ
・N. northiana 
ノーシアナ

・N. ovata 
オバタ

・N. palawanensis 
パラワネンシス
・N. paniculata 
パニクラタ
・N. pantaronensis 
パンタロネンシス
・N. papuana 
パプアナ
・N. parvula 
パルヴラ
・N. peltata 
ペルタタ
・N. pervillei 
ペルヴィレイ
・N. petiolata 
ペティオラタ
・N. philippinensis 
フィリピネンシス
・N. pilosa 
ピロサ
・N. pitopangii 
ピトパンギイ
・N. platychila 
プラティキラ
・N. pulchra  
プルクラ

・N. rafflesiana 
ラフレシアナ
・N. rajah 
ラヤ
・N. ramispina 
ラミスピナ
・N. ramos 
ラモス
・N. reinwardtiana 
レインワルドティアナ
・N. rhombicaulis 
ロムビカウリス
・N. rigidifolia 
リギディフォリア
・N. robcantleyi 
ロブカントレイ
・N. rowanae 
ロワナエ

・N. samar  
サマル
・N. sanguinea  
サンギネア
・N. saranganiensis  
サランガニエンシス
・N. sibuyanensis 
 シブヤンエンシス
・N. singalana 
シンガラナ
・N. smilesii  
スマイルシイ
・N. spathulata  
スパツラタ
・N. spectabilis  
スペクタビリス
・N. stenophylla  
ステノフィラ
・N. sumagaya  
スマガヤ
・N. sumatrana  
スマトラナ
・N. suratensis  
スラテンシス
・N. surigaoensis  
スリガオエンシス

・N. talaangig  タランギグ
・N. talangensis  
タランゲンシス
・N. tboli  
ティボリ
・N. tenax  
テナックス
・N. tentaculata