2023年12月ボルネオ島クチンで、現地のウツボカズラ飯を探す旅をしてきました。
クチン郊外のバウ地区にあるシニアワンのナイトマーケットで露店のウツボカズラ飯に出会い。次にデュヨ(Duyoh)村のファーマーズマーケットで多くのウツボカズラ飯が販売されているのに遭遇できました。
先住民族であるビダユの人は、ウツボカズラ飯に使うウツボカズラの捕虫袋を山から採集しているとのことでした。
使われているウツボカズラは、Nepenthes ampullaria(ネペンテス・アンプラリア)という種類。マレー半島、ボルネオ島の低地に広く分布しています。観賞用の園芸植物として、根強い人気もあります。
現地の旅行会社InsarTourさんに聞くと、N. gracillisとともに、雑草のように生えているとのこと。その自生地へと見学に行きました。
野生のネペンテス・アンプラリア
農業地域の、湿った腐葉土が積もる藪の中。多くのネペンテス・アンプラリアの捕虫袋が地面から覗いていました。一株見つけると、さらに隣、さらに隣といった感じに、多数の株が群生していました。また、一株に多くの捕虫袋をつけています。捕虫袋の大きさは直径5センチほど。ウツボカズラ飯に使われている拳大の大きさのものは見当たりませんでした。
バリエーション豊かなアンプラリアの捕虫袋(ピッチャー)
同じ場所に生えているにもかかわらず、捕虫袋のバリエーションが豊か。赤い斑が多く入っているタイプ。完全にグリーンのタイプなど。その差異が面白く、見飽きません。
立ち上がる枝につく捕虫袋
多くが地表近くに捕虫袋を付けていましたが、中には立ち上がる枝に捕虫袋を付けている株もありました。
野生のネペンテス・グラシリス(Nepenthes gracillis)
アンプラリアと同じ場所にグラシリスも見られました。
グラシリスも多くがグリーンでした。が、中には暗赤色のかっこいい捕虫袋をつけるタイプも生えていました。
野生のネペンテス・ミラビリス?(Nepenthes mirabilis)
アンプラリア、グラシリスの中に、ミラビリス?Nepenthes mirabilisと思われる植物が生えていました。
クルマバモウセンゴケ(Drosera burmannii)
同じ場所に同じく食虫植物のモウセンゴケの仲間とウトリクラリアも生えていました。
野生のウトリクラリア
自生地にいたヤスデ
危険色でメタリックなヤスデがいました。おしゃれな配色です。
食事をするアンプラリア
アンプラリアは捕虫袋に落ちた葉を栄養にしていると研究者が指摘しています。それがよくわかる姿で、野生のアンプラリアの壺に落ち葉が入っていました。
野生のウツボカズラ(ネペンテス・アンプラリア)の消化液
どの捕虫袋にも消化液が溜まっているのが見えます。
野生のウツボカズラを見学してみて
人里離れたわけではない場所で、ひっそりと食虫植物が育っていること。その食虫植物を先住民族のビダユの人たちが料理に利用してきたことを考えると、感慨深いです。
興味を持たなければ、交わり得なかった世界線がこの世にはいくつもあるのだろうと思いました。