およそ600種類あり、世界中に分布している食虫植物。そのうち、22種類が日本に自生しています。群馬県の中央に位置する日本百名山の一つ赤城山。この赤城連の一つである地蔵岳もまた食虫植物が自生することで有名な地です。地蔵岳は、登山初心者でも登れ、日帰りで行けるコースです。地蔵岳で食虫植物を見つつ山歩きした体験レポートを交えて紹介していきます。
地蔵岳はどんな山?難易度は?初心者でも登れる?
地蔵岳は、群馬県前橋市に位置する赤城山の連なる山々のひとつで、標高1674メートルあります。赤城山は火山体の総称で、最も標高の高い黒檜山(くろびさん)、駒ヶ岳、地蔵岳、長七郎山などの山々を含めて赤城山と呼びます。
地蔵岳は木道や階段などで道が整備されているところが多く、小一時間ほどで頂上に行ける比較的登りやすいトレッキングのスポットです。アクセスしやすく、登山が初めての人にもおすすめ!登山道へは八丁峠から入るのが便利です。
地蔵岳で見られる食虫植物
地蔵岳で見られる食虫植物は、ムシトリスミレ、モウセンゴケの2種類です。
・ムシトリスミレ
タヌキモ科の食虫植物。高山に生え、蛇紋岩や石灰岩の上に育つことが多いです。粘りつけ式の虫を捕まえる罠をもち、やや多肉質の葉には多数の腺毛が生え、粘液を出して虫を粘りつけて捕まえ、消化液を出して葉の上でゆっくりと溶かし吸収します。
花の時期は地域によりズレがあり、地蔵岳では6月初旬〜中旬頃です。

・モウセンゴケ
ムシトリスミレ同様に粘りつけ式の罠をもつ食虫植物です。葉が丸い形をし、葉に生えた多数の腺毛から粘液を分泌し虫を捕まえ、消化し、吸収します。

地蔵岳を八丁峠から登ってみた
地蔵岳の頂上へ行く道すがらモウセンゴケを見られるので八丁峠から入ります。八丁峠にも駐車場はありますが、小沼駐車場の方が広くて地面も整備されているので、(八丁峠は狭く収容台数は10台ほどでむき出し)小沼駐車場に停めて、八丁峠まで歩きました。歩いて10分ほどです。
八丁峠登山口は、木の階段が目印です。

階段をひたすら上に登っていきます。
地蔵岳登山途中に見える景色
途中ゴロ石があるものの、整備されている箇所が多く、登山初心者でも平気な道です。登山靴、動きやすい服装にリュック、撮影のためのカメラがあればばっちりです。頂上までは植物を観察しながらゆっくり登っても、小一時間ほど。早い人であれば30分かからないかもしれません。時々、トレイルランニングの人が猛スピードで降りてくることもあります。
登っている途中は見晴らしもよく、途中で小沼を見下ろすことができます。しかし、地蔵岳での食虫植物観察のベストシーズン6月中旬は霧が多く、二度とも濃霧に見舞われました。


野生のモウセンゴケを探すポイント
登山の途中でモウセンゴを見ることができます。

だいたい膝くらいの高さの日当たりのいい壁面に生えていることが多く、他の植物に混じって生えています。最初の1株を見つけるまでが難しいのですが、1株を見つけてしまえば、どんどん多くの株を見つけることができます。

虫を捕らえているところも観察できますので、モウセンゴケを見つけたらぜひ捕虫している葉を探してみてくださいね。
野生のムシトリスミレを探すポイント
地蔵岳頂上付近に生えています。タイミングが合えば開花しているところを見ることができます。ムシトリスミレは岩肌にへばりつくように生えていることもありますが、ここでは地面に生えています。

山歩きで野生の食虫植物を見る楽しみ
山歩きで食虫植物を見るのはとても楽しいです。どんな環境に育っているのか学ぶことができますし、同時に、食虫植物を取り巻く自然をも堪能できます。食虫植物だけではなく、一緒に生えている高山植物も楽しめます。
虫を捕まえている瞬間を観察することができるのも楽しいです。ぜひおすすめです。
赤城山山岳信仰と赤城大鳥居
赤城山方面に向かう道すがら、赤城県道を車で走ると「赤城大鳥居」が見えます。この鳥居から20kmほど離れた場所に位置する赤城神社は赤城山を祀る神社で、山岳信仰に由来します。車で潜ることになる不思議なスポットです。

赤城・地蔵岳へのアクセス
地蔵岳へは車でアクセスする方法とバスでアクセスする方法があります。車で行くのが便利でおすすめです。
車の場合は赤城ICから県道70号線に入り、小沼駐車場を目指し、登山口の八丁峠まで徒歩で行きます。八丁峠にも駐車場はありますが、狭く、舗装されていないので、駐車スペースが広く、整備されている小沼駐車場の方がおすすめです。
バスはJR前橋駅から関越交通バスで赤城山ビジターセンターまで行き(所要時間70分)、徒歩で、地蔵岳の登山口である八丁峠へ行きます(所要時間30分)。
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