世界中に自生する食虫植物。600種類ある食虫植物の内、22種類の食虫植物が日本に自生しています。食虫植物が育つ環境は限られているため、局所的に自生し、食虫植物の自生地が日本全国に点在しています。北は北海道から南は沖縄まで。
尾瀬は食虫植物が自生する有名な場所の一つです。
尾瀬とはどんなところ?
福島県、新潟県、群馬県、栃木県にまたがる高層湿原を含む山岳地域です。
1934年に日光国立公園の一部として指定を受け、2007年に日光国立公園から尾瀬地域を分割し、会津駒ヶ岳、田代山、帝釈天などを編入し尾瀬国立公園になりました。
尾瀬国立公園は尾瀬沼(おぜぬま)、尾瀬ヶ原、至仏山(しぶつさん)、燧ヶ岳(ひうちがたけ)を含む特別保護地域で、本州最大の高層湿原。その大きさは東西6km、南北3kmにも及びます。

火山群が噴火して形作られた火山性高層湿原という特殊な環境で、ミズバショウ、ニッコウキスゲなどの湿地特有の植物を見ることができます。
毎年多くの人が訪れる観光名所であり、人気のトレッキングスポット。多くの方が登山を楽しみ、植物観察や植物の写真を撮影したりしています。
尾瀬で観察できる食虫植物の種類
これらの食虫植物が尾瀬では見られます。
・ムシトリスミレ Pinguicula ramosa
・ナガバノモウセンゴケ Drosera anglica
・サジバモウセンゴケ Drosera X ovobata
・モウセンゴケ Drosera rotundifolia
・コタヌキモ Utricularia intermedia
・ヤチコタヌキモ Utricularia ochroleuca
・ムラサキミミカキグサ Utricularia yakusimensis
とくにナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔)の大群落が有名で、北海道と尾瀬でしか見られません。尾瀬で初めて食虫植物を見て、以来興味を惹かれ、食虫植物栽培にのめり込むようになった人もいるほどです。
尾瀬で食虫植物を見るのに良い時期
6月から9月の間であれば、食虫植物が自生する姿を見られる可能性が高いです。
花が咲いているところを狙うのであれば、ムシトリスミレは7月初旬〜下旬、ナガバノモウセンゴケは7月中旬から8月中旬に花期を迎えるので、その時期に行くのがおすすめです。
実際に尾瀬で食虫植物を見た感想

尾瀬沼のモウセンゴケ・ナガバノモウセンゴケ
沼山峠から入り、尾瀬沼ビジターセンターに向かう途中の森の中でモウセンゴケを見ることができました。
モウセンゴケは葉柄と葉身の境がはっきりとし、丸い葉が特徴的です。
苔むした岩の間、モウセンゴケが生える場所にしては珍しく木陰になるようなところに生えていました。日当たりの良い開けた場所に生えていることが多いです。


モウセンゴケのそばには水苔が一緒に生えていました。美しい緑色でふかふかとしています。
そして、沼尻の湿原でナガバノモウセンゴケを見ることができました。開けた湿原に数多くのナガバノモウセンゴケが自生し、木道から観察できます。


真っ赤に色づいた葉が遠目からも目立ち、近くで見れば、露と粘液で輝く様子が実に美しいです。
光の粒を纏う葉。その葉が虫を捕まえて食べていることも神秘そのものでした。
食虫植物が生えている主なエリア
ナガバノモウセンゴケ…尾瀬ヶ原、沼尻
ムシトリスミレ…アヤメ平、至仏山
食虫植物と一緒に見られる他の植物(9月初旬)
ナガバノモウセンゴケを見たのが9月初旬。その時には、ウメバチソウ、エゾリンドウ、ワレモコウ、マルバダケブキ、オゼミズギク、トリカブトを見ることができました。



尾瀬で食虫植物観察する時の服装・持ち物
7月の尾瀬の平均気温は16℃、8月は17℃、9月は13℃と比較的冷涼な気候です。しかし、日中の日差しで暑くなり30℃近くになる日もあるので寒暖差に対応できる服装が良いでしょう。
天候が変わりやすく雨や霧も多いので、雨具・レインウェア・ザック用のレインカバーなどがあったほうがいいです。レインウェアは防寒着にもなるので便利です。
おすすめの服装、持ち物をリストアップします。
・登山靴
・登山リュック
・速乾性の長袖シャツ
・登山用のズボン
・登山用の靴下
・登山グローブ
・レインウェア
・カメラなどの撮影機材及びバッテリー予備
・飲み物
・行動食
・防寒着
・帽子
・常備薬
・ファーストエイドキット
・マスクの替え
宿泊・休憩できる場所(山小屋)
尾瀬には山小屋・休憩所があります。トイレ休憩や食事をしつつ一休みするのも楽しみの一つです。山小屋に宿泊する場合は事前予約が必要です。
※コロナの影響により自粛・休止しているところもあり。

山小屋・休憩所
・鳩待山荘 鳩待山荘ページ
・龍宮小屋 龍宮小屋公式サイト
・至仏山荘 至仏山荘ページ
・山の鼻小屋 尾瀬至仏山麓山の鼻小屋公式
・長蔵小屋 長蔵小屋公式サイト
・尾瀬沼山荘 尾瀬沼山荘ページ
・温泉小屋 温泉小屋公式
・弥四郎小屋 弥四郎小屋公式
・檜枝岐(ひのえまた)小屋 檜枝岐小屋公式 尾瀬ひのえまた小屋ブログ
尾瀬への行き方(アクセス方法)
公共交通機関利用
尾瀬への入り方は行く場所により異なります。尾瀬沼へ行くには沼山峠、大清水から。アヤメ平、至仏山、尾瀬ヶ原へ行くには鳩待峠からアクセスするのが便利です。
都内からは高速バスと電車で行けます。
沼山峠へのアクセス
・浅草駅→東武鉄道特急→会津高原尾瀬口駅→会津バス→尾瀬御池→沼山峠(所要時間5時間)
鳩待峠・大清水へのアクセス
・バスタ新宿→高速バス関越交通「尾瀬号」乗車→尾瀬戸倉 関越交通バス乗り換え→大清水→鳩待峠(所要時間5〜6時間)
※2020年はコロナの影響で運休
新幹線を使う交通ルートもあります。
・東京駅→上越新幹線→上毛高原駅→沼田駅 沼田駅→関越交通バス→尾瀬戸倉→大清水か鳩待峠(所要時間4時間弱)
2010年に行った時は、深夜発のバスに乗り車中泊の日帰りコースでした。そのコースで尾瀬沼周辺のナガバノモウセンゴケを見ました。しかし、さらに足を伸ばして探索するのであれば、山小屋泊した方が良さそうです。
バスツアー参加
ツアー会社の尾瀬を往復するバスツアーに参加して行く方法もあります。マイクロバスで東京駅、新宿駅、練馬駅などから乗り鳩待峠に行くツアーや大清水に行くツアーなど。朝食のお弁当や帰りの温泉施設の入浴チケット付きで安く販売されています。
マイカー規制されている区間もツアーバスなら入れるため、便利です。ただし、マイクロバスのため、座席間隔が狭く、長距離乗車が体に負担がかかるため、しんどい面もあります。
車で行く場合
尾瀬へは尾瀬戸倉まで車で行き、駐車場に停めてバスで入る方が多く見られます。
・沼田ICから大清水、富士見下に駐車。鳩待峠にいく場合は尾瀬戸倉に駐車して関越交通バス(マイカー規制のため)
・西那須野塩原ICから尾瀬御池駐車場まで行き、沼山峠へはシャトルバス(マイカー規制のため)