食虫植物は英語でなんていう?

食虫植物コラム

食虫植物のことを英語で何ていうのでしょうか。使われるのはこの二つです。

・Carnivorous Plant

・Insectivorous Plant

Carnivorousは肉食性、食虫性という意味を持ち、カーニバルスと読みます。

Insectivorousもまた食虫性という意味を持ち、インセクティバルスと読みます。

どちらも食虫植物という意味で使われるのですが、二つを比べると、Carnivorous Plantsのほうがよく使われています。

Googleで、Carnivorous Plantを検索するとヒットするのは、19500,000件
Insectivorous Plantで検索してヒットするのは、1210,000件と大きく差があります。

では、実際どのように使われているのでしょうか。

Carnivorous Plantを名称に使っている食虫植物関係団体

食虫植物の関係団体のなかでも、もっとも大きいICPS(国際食虫植物学会)は、International Carnivorous plant Societyの略で、Carnivorous plantを使っています。

また、食虫植物関連の洋書もCarnivorous plantと使うことが多く、2013〜2014年に刊行されたオーストラリア在住の食虫植物専門家Allen Lowrie氏の本『Carnivorous plants of Australia Magnum Opus』にも、タイトルにはCarnivorous plantsが使われています。

伝統のある「Insectivorous Plants」という呼称(呼び名)

一方で、Insectivorous Plantは、チャールズ・ダーウィンの本のタイトルになり、伝統のある呼称です。しかし、Insectivorousの語意は虫に限られています。食虫植物は昆虫に限らず、節足動物、小動物も捕食するので、「肉食性」と包括的な意味をもつCarnivorousの方が、より食虫植物の実態に近いのではないでしょうか。

Carnivorous PlantとInsectivorous Plantsの呼称の起源

ガーデンライフ編・食虫植物研究会監修『食虫植物ふしぎな魅力』(誠文堂新光社)には、両方の呼び名の起源が書かれています。以下引用します。

「食虫植物(Insectivorous Plant)という呼び名は、チャールズダーウィン、ロウソン・テイト、J・D・フッカーら(一八七五年)によってはじめて使われました。」「肉食植物(Carnivorous Plant)の呼び名がモーレン(一八七五年)によって使われ、ベルギー、フランスで、そして、二十世紀になってアメリカで、広く使われるようになりました」

小宮定志「やさしい植物学」ガーデンライフ編・食虫植物研究会監修『食虫植物ふしぎな魅力』(誠文堂新光社)より

この二つの呼び名が使われるようになったのは同時期のようですが、Carnivorous Plantの方が多く使われるになりました。

食虫植物の代表的な種類(属)は、英語では?

では、食虫植物の代表的な種類(属)は英語でなんていうのでしょうか。

食虫植物の各種類の学名(属名=ラテン語名)と英名を表にまとめてみました。

和名学名(または属名)英名
ハエトリグサDionaea muscipulaVenus Flytrap
ヘイシソウSarraceniatrumpet pitchers
North American pitcher plant
ウツボカズラNepenthesTropical pitcher plant
Monkey cup
モウセンゴケDroseraSundew
ムシトリスミレPinguiculaButterworts
タヌキモUtriculariaBladderworts
フクロユキノシタCephalotus follicularisAlbany pitcher plant
Western Australian pitcher plant
fly-catcher plant
イヌイシモチソウDrosophyllum lusitanicumDewy Pine
Portuguese sundew
ランチュウソウDarlingtonia californica Cobra Lily
Cobra plant
California pitcher plant

モウセンゴケ(ドロセラ)の英名Sundewは、太陽の露という意味を持ち、詩的な呼ばれ方をしています。

ハエトリグサのVenus Flytrapも、ただのフライトラップだけではなく、ヴィーナスが頭に付くところが文学的なひねりがあります。

ユニークなのがムシトリスミレのButterworts。葉っぱの表面が粘液で濡れ光ることから、バター草と呼ばれたそうです。

ドロソフィルム(Drosophyllum lusitanicum)、ダーリングトニア(Darlingtonia californica
の和名「イヌシイモチソウ」「ランチュウソウ」は一般的に使われることがほぼありません。

ヘイシソウはサラセニアの和名、フクロユキノシタはセファロタスの和名ですが、この2つも和名よりもラテン語の属名をそのまま呼ぶ、もしくはカタカナ表記にすることの方が圧倒的に多いです。

面白いのは英名と和名に見るその植物へのイメージの差です。ダーリングトニアを和名ではランチュウにたとえ、英名ではコブラにたとえています。セファロタスは和名では山野草のユキノシタにたとえ、英名ではウツボカズラの仲間にたとえています。

タヌキモは和名では狸、英名では袋。ムシトリスミレは和名ではスミレの仲間にたとえ、英名ではバター草と呼びます。

まとめ

植物の名前は、その植物のイメージが濃縮し、結晶化したものです。各種類(属)の英名、和名、学名を比べて、なぜそういう名前がついたのか、由来やそこからわかるイメージの違いに思いをはせると面白いですね。

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