食虫植物料理「ウツボカズラ飯」とは?(レシピあり)

食虫植物コラム


ウツボカズラの捕虫袋に米を入れて炊くウツボカズラ飯について紹介していきます。

ウツボカズラ飯とは?

そもそも、ウツボカズラ飯とはなんでしょうか?

食虫植物のウツボカズラ(ネペンテス)の捕虫袋の中に米を入れて炊いた料理のことです。

奇抜なアイディアの創作料理や、漫画メシのような空想上の料理ではなく、マレーシア、タイ、インドネシアなど東南アジアで昔から作られている伝統料理。とくにボルネオ島の先住民族の人たちの間で作られてきたようです。

マレー語で、Lemang Periuk Kera(レマン プリク ケラ)。英語では、Pitcher riceともいいます。

Lemang(レマン)は、ココナッツミルク、塩、もち米をバナナの葉で包み、竹の筒で炊く伝統料理で、イバン族の人々の間で作られてきました。レマンのウツボカズラを使ったバージョンがウツボカズラ飯です。

マレーシアに行った時に、現地の方から話には聞いていました。

それにしても、ウツボカズラもめずらしい植物なのに、それを料理の道具に使うのは、さらにめずらしく楽しい料理です。

ウツボカズラ飯について書かれている文献

ウツボカズラ飯について書かれている文献はこちらです。※発見し次第追記します。

・横塚真己人『ボルネオの熱帯雨林ー生命のふるさと』(福音館書店)

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横塚真己人さんの写真集『ボルネオの熱帯雨林ー生命のふるさと』には、ウツボカズラ飯を鍋で煮ている写真が紹介されています。

・Stewart Mcpherson『Pitcher Plants of the Old World』(Redfern Natural History Productions Ltd)

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Stewart Mcpherson『Pitcher Plants of the Old World』203ページから206ページには、くわしい内容と写真、ウツボカズラ飯のレシピものっています。

(追記)堀田満編『世界有用植物事典』(平凡社 1989 p.713)に「捕虫袋にもち米を詰めて蒸菓子をつくる(スマトラ)ような使用例が知られている。」と書かれています。

ウツボカズラ飯の作り方(レシピ)二つ

今まで見聞きした話をまとめると、ウツボカズラのレシピはいく通りかあります。

味付けもココナッツミルクと砂糖だったり、塩だったり、ごはんももち米だったり、普通米だったり、
加熱する場合も、捕虫袋ごと茹でる場合と蒸す場合があります。
また、捕虫袋のエリの部分をカットしたり、そのままであったりもします。

わたしがよく作っているレシピと上記文献『Pitcher Plants of the Old World』にあったレシピ、二通りのレシピをご紹介します。

ウツボカズラ飯レシピ その1

用意するもの

・ウツボカズラの袋4つ
・米0.5合(前日に水につけておく)
・ココナッツミルクパウダー小さじ1.5
・砂糖小さじ1
・牛乳50cc

1  ウツボカズラの捕虫袋を用意する

2  袋の表面と内側をよーく洗います。とくに底の方に虫がたまっているので注意。

3 丸一日水につけた米を捕虫袋の三分の一程度まで入れる

4 ココナッツミルクパウダー、砂糖、牛乳を合わせてよく混ぜる

5 4のココナッツミルクを捕虫袋に注ぐ

6 中火から弱火で30分ほど蒸す

以上でできあがりです。

あとは、バナナの皮をむくように、ウツボカズラの袋をむいて中のごはんを食べます。

ウツボカズラ飯レシピイラスト

ウツボカズラ飯のレシピを、イラストでわかりやすく解説してみました。

こちらもご参考までに。

ウツボカズラ飯レシピ その2

次に、Stewart Mcpherson『Pitcher Plants of the Old World』のP.203にのっているレシピをご紹介します。

1 ウツボカズラの捕虫袋を24個用意し、丁寧に水洗いし、一晩中捕虫袋を水につけて、水をこまめに取り替える。1キロの米を水にひたす

2 捕虫袋のつるの部分をカットする

3 米をココナッツミルクと塩でゆでる

4 2カップほどの量の新鮮なエビを洗って細かく刻む。
カップ半分ほどの量の紫玉ねぎをみじん切りにする。
ひとつかみのエビペーストと唐辛子4、5本、セロリの葉、新玉ねぎをすりつぶし、
刻んだエビと合わせて、香りが出るまで少しの量の油で揚げる。

5 米が半分ほど煮えたら火からおろし、水で冷やす。捕虫袋の中に米を半分入れ、4で揚げたものを
スプーンいっぱいほど入れる。それからさらに米を入れる。

6 蒸し器に袋を立てて並べて30分ほど蒸す、もしくは茹でる。熱いままか、冷まして召し上がれ。

おいしそう!ココナッツミルクとエビペースト(ブラチャン)の相性もよさそうです。エビペースト(ブラチャン)は、マレーシアをはじめとした東南アジアで使われるエビを発酵させた調味料です。

動画で説明していますので、こちらも合わせてどうぞ。

ウツボカズラ飯を作ってみた失敗例

ウツボカズラの料理を実際に作ってみたところ、難しく、何度も失敗しています。

・未開封の捕虫袋を使ったところ、葉が柔らかすぎて、長時間熱を入れた時に袋に耐久性がなく、破れたり、グズグズになってしまいます。

・捕虫袋の中に米を入れすぎると、中で米がふくらんで、捕虫袋が破裂してしまいます。米がふくらむことができず、うまく柔らかくなりません。三分の一程度にとどめておくのがよいようです。

・ココナッツミルクをたっぷり入れないと、米が固いままです。

・少なくとも一晩は米を水につけないと、蒸しても米が固いままです。炊ける時間は捕虫袋の大きさによっても若干変わってきますので、火の通し方が難しく、『Pitcher Plants of the Old World』のレシピの方が、最初に熱を通すのでよいかもしれません。

・捕虫袋がしっかりしていないととくに茹でた時に破れてしまいます。捕虫袋が薄いタイプの種類を使う場合には、蒸す方が無難です。

・底の方に虫が残りやすく、捕虫袋をむいて、ごはんの底から捕虫された虫が「こんにちは」しやすいです。

ウツボカズラを作ってみた、食べてみた感想

これまでにいろいろな種類のウツボカズラを使って作ってみました。

・ダイエリアナ
・アラタ
・ベントリコサ
・アンプラリア…etc

あまり捕虫袋が細いと米を入れにくいので、ある程度口が広い方が入れやすいです。食べてみたところ、ウツボカズラの青臭さと色がごはんにうつり、野趣があることと、ほんのり甘いやさしい味がします。

ウツボカズラ飯を食べられる場所

ウツボカズラ飯は、マレーシアサラワク州のクチンのローカルマーケットで売られていたり、タイの屋台で売られているようです。

日本では売られていませんが、時々自分でワークショップも開催しています。

ウツボカズラを購入できるところ

ウツボカズラ飯を作るためには、まずウツボカズラを購入しなければ作れません。

ヒーローズピッチャープランツ
Y’s Exotics山田食虫植物農園
大谷園芸
リベラルファーム

こちらでオンラインで販売されているほか、時期によっては以下のお店でも取り扱われています。

オザキフラワーパーク
プロトリーフ
ヨネヤマプランテイション
Gardens
charm


ウツボカズラについての詳しい記事はこちらもありますので、
あわせてチェックしてみてください。

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